辻村深月さんの代表作とも言われる「かがみの孤城」を読みました!
まさに傑作という面白さだったので、まだ読んでいない方にもわかりやすいように、ネタバレなしで、あらすじと面白さのポイントを解説します!
この作品は「思春期の葛藤を描いた作品」「心温まるストーリー」「鮮やかな伏線回収」が好きな方に特におすすめです!
あらすじ・内容紹介
あなたを、助けたい。学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた――なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。(引用:amazon)
主人公は不登校になってしまった中学一年生の女の子「こころ」。
鏡の向こうにある謎のお城に突然招かれて、城のどこかにある「願いの部屋」とそのカギを見つければ、なんでも一つ願いを叶えてやると言われます。
城に招かれた「こころ」を含む7人の中学生は、城が閉まるまでの約一年間カギ探しをしつつ交流を深め、城は7人にとって大切な居場所になっていきます。
城で築いた信頼を支えに成長する7人は次第にそれぞれの抱える事情にも立ち向かうようになるのですが…
面白さポイント紹介
ポイント1 生きづらさに悩む中学生のリアルな心理描写
この作品の前半では「こころ」が不登校になってしまった経緯や、あまりコミュニケーションが上手ではない登場人物たちが互いを傷つけてしまう様子が、非常にリアルに描かれます。
どうしてこんなにわかるのかというくらいにリアルに描かれるので、読んでいてすごく辛いですし、自分の辛い経験を思い出して重ねてしまう人も多いと思います。
しかし、その描写がすごく胸をしめつけるからこそ、やっと見つけた居場所や仲間を大切に思う「こころ」たちの気持ちに感情移入ができます。
この部分だけだと辛いですが、7人が救われていく部分に差し掛かると、きっと過去の自分の辛かった経験も一緒に救われたような気持ちになれるはずです。
ポイント2 7人が救われていく様子と、互いを想う切実な心
この本で最もお勧めしたいのが、救われ成長した7人がお互いをまっすぐに想いあうようになっていく描写です。
居場所をなくし、どうしようもなかった自分を救ってくれた友達への感謝と信頼が、中学生ならではの純粋さで表れてくる様子にはすごく心打たれるものがあります。
「辛い世界で、誰一人助けてくれないと思っていたから、ずっと一人で意地を張って生きていた。」
「だけど本当はずっと誰かに助けてほしかったし、誰かのことを信じたかった。」
「そんな自分に寄り添ってくれた大切な仲間だから、できるならずっと一緒に助け合っていたい。」
そんな切実な思いが端々からあふれてくる後半は涙なしに読むことはできません。
ポイント3 最後に畳みかける伏線回収
そして最後には、城の謎に迫る怒涛の伏線回収が待っています。
この謎に関しては、かなりヒントを丁寧に出してくれているので、わかる人には途中で分かってしまうと思います。
しかし、この作品の場合、重要なのは城の謎の真相自体ではなく、それによって生まれる結末のほうなので、わかってしまっても安心して最後まで読んでいただきたいです。
この作品の伏線回収は読者を驚かすための単なるびっくり箱のようなものではなく、心温まる結末へと物語を導くためのものです。
秀逸などんでん返しがある作品は数多くありますが、これほどまでに結末を引き立てる仕掛けになっている作品は私はほかに読んだことがないので、ぜひ楽しんでみてください。
最後に
辻村深月さんの作品は面白いものが多く、私もいくつも読んできましたが、このかがみの孤城は私の中では間違いなく最高傑作でした。
辻村深月さんの作品をどれから読むかで迷っている方は、ぜひ最初にこれから読んでみるといいと思います。
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