宮部みゆき「ソロモンの偽証」のあらすじと魅力をネタバレなしで解説!深く鮮烈な長編青春群像劇!

本紹介

あの宮部みゆきさんが10年がかりで書いたという大作ミステリー「ソロモンの偽証」を読みました!

文庫版だと3000ページを超えるほどの長さであるため読み切るのは大変ですが、それでも間違いなく読むべき作品です。

まだ読んでない方にもわかりやすいように、ネタバレなしであらすじと面白さのポイントを解説します!

この作品は、「登場人物の心情を緻密に描く壮大なミステリー」「大人びた子供たちの青春群像劇」「心揺さぶられ、考えさせられる作品」が好きな人に特におすすめです!

 

あらすじ・内容紹介

クリスマス未明、一人の中学生が転落死した。柏木卓也、14歳。彼はなぜ死んだのか。殺人か、自殺か。謎の死への疑念が広がる中、“同級生の犯行”を告発する手紙が関係者に届く。さらに、過剰報道によって学校、保護者の混乱は極まり、犯人捜しが公然と始まった――。ひとつの死をきっかけに膨れ上がる人々の悪意。それに抗し、真実を求める生徒たちを描いた、現代ミステリーの最高峰。(引用:amazon)

転落死した中学生柏木卓也は自殺したのか、それとも殺されたのか。

膨れ上がった疑念と混乱はさらなる悲劇を引き起こし、当事者の生徒たちを置き去りにしたまま噂や批判ばかりが過熱していきます。

何もはっきりさせず、ただ事態の収束だけを目指す大人たちにうんざりした生徒たちはついに立ち上がり、「学校内裁判」で真実を明らかにすべく動き出すのですが…

面白さポイント紹介

ポイント1 多角的な視点で描かれるストーリー

この作品では、頻繁に視点が移り変わり、登場人物それぞれの物語がとても深くまで描かれます。

登場人物一人一人の物語が見事に絡み合って大枠の物語が作られていき、その完結と同時にそれぞれの物語も決着を迎える。

その様子は圧巻で、宮部みゆきさんの凄みを感じさせられます。

また、構想に10年もかけたことや、3000ページ以上もの長さになったことの意味はここにあったんだろうなとも思いました。

「性格のひねくれた子」や「事なかれ主義の大人」など、通常であれば悪役で終わってしまいそうな人物の物語もしっかりと描き、単に悪を倒すだけではない深みのあるお話になっています。

まるで一つの世界を丸ごと読んでいるかのような、緻密で壮大な物語をぜひ楽しんでください。

ポイント2 傷つけまいとする大人たちと傷ついてでも前に進もうとする子供たち

この作品で最もお勧めしたいのが、誰も傷つけずに事態を丸く収める「大人の正しい対応」を、弱い立場の子供たちが体当たりで乗り越えてくる部分です。

前半部分で描かれる大人たちの対応やそれに伴う苦悩も非常に正しく、共感できるものなのですが、子供たちは「向き合い、傷つけあう覚悟」を決めることで、それを超える結末を生み出していきます。

「真実を明らかにしたい」という思い一つを支えに、真正面から事件に向き合う子供たちの挑戦が、大人たちでは作れなかった結果を生み出していく様子には胸が熱くなります。

学校内裁判を主導する子供たちは、中学生とは思えない優秀さなのですが、このまっすぐな姿勢は中学生ならではという感じがして、読んでいてとてもすがすがしいです。

前半で丁寧に描かれた登場人物それぞれの物語が、一気に決着していくところは最高に気持ちがいいので、ぜひ味わってみてください。

ポイント3 タイトル「ソロモンの偽証」の意味

この作品は、タイトルの意味を考えながら読んでいくのも、とても楽しいです。

宮部みゆきさんはタイトルについて、インタビューで以下のように語っています。

(インタビュアー)ソロモン王というのは、神託を受けて人を裁くことを許された人物。それを「偽証」で受けたタイトルですが。

(宮部) 私の場合、いつもアイデアと一緒にタイトルが出てくる。これが同時に出てこない作品って、大抵ポシャるんです。今回は幸いにも全くブレなかった。敢えて説明してしまうなら、そうですね、最も知恵あるものが嘘をついている。最も権力を持つものが嘘をついている。この場合は学校組織とか、社会がと言ってもいいかもしれません。あるいは、最も正しいことをしようとするものが嘘をついている、ということでしょう。

出典:宮部みゆき『ソロモンの偽証』|特設サイト|新潮社

インタビューでは、最も知恵あるもの、最も権力を持つもの、あるいは最も正しいことをしようとするものである「ソロモン」が嘘をついているというのがタイトルの意味であると語られています。

ソロモンとは誰で、嘘とは何だったのかを考えながら読むのも楽しいですし、読み終えてから改めて意味を考えるとまた作品の深みを感じれると思います。

最後に

私の中でこの作品は、宮部みゆきさんの最高傑作です。

特に第3部「法廷」で学校内裁判が始まってからはもう最後まで止まらないほど面白いので、ぜひそこまで頑張って読んでみてください。

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