主人公のみずみずしい心に感情移入して、感動と勇気をもらうことができる「青春小説」。
話題になる作品も多いため、どれを読めばいいかわからないという人や、深く感動できる作品はどれなのかを知りたいという人も多いのではないでしょうか。
この記事では、「深く感動できる」ことに重点を置いて厳選した青春小説7選をご紹介します。
中にはボリュームがあって読むのに時間がかかるものもありますが、読めば間違いなく大きく心動かされる作品ばかりなので、ぜひ読んでみてください。
深く感動できる青春小説おすすめ7選
かがみの孤城
本屋大賞を受賞し、辻村深月さんの最高傑作とも言われる感動小説で、2022年冬に劇場アニメ化もした作品です。
主人公は不登校になってしまった中学一年生の女の子「こころ」。
鏡の向こうにある謎のお城に突然招かれて、城のどこかにある「願いの部屋」とそのカギを見つければ、なんでも一つ願いを叶えてやると言われます。
城に招かれた「こころ」を含む7人の中学生は、城が閉まるまでの約一年間カギ探しをしつつ交流を深め、城は7人にとって大切な居場所になっていきます。
城で築いた信頼を支えに成長する7人は次第にそれぞれの抱える事情にも立ち向かうようになるのですが…
この作品では、生きづらさを抱える中学生たちがリアルに描かれ、前半は胸が締め付けられますが、だからこそ彼らが救われていく後半には非常に心打たれるものがあります。
また、心温まる結末に鮮やかに導くラストの伏線回収は見事というほかないほど素晴らしいので、そこもぜひ楽しんでください。
この作品は「思春期の葛藤を描いた作品」「心温まるストーリー」「鮮やかな伏線回収」が好きな方に特におすすめです!
この本のさらに詳しい紹介は、以下の記事をご覧ください。
ソロモンの偽証
執筆が早いことで有名な宮部みゆきさんが構想に10年かけたという大作ミステリーで、2015年に映画化され、2021年にはWOWWOWでドラマ化もされた作品です。
一人の中学生の転落死と、それが同級生による殺人だと告発する手紙をきっかけに人々の悪意が連鎖し、次々と悲劇が引き起こされていきます。
当事者の生徒たちを置き去りにしたまま噂や批判はどんどん過熱していきますが、大人たちは事態の収束を図るばかりで、何一つはっきりとは教えてくれません。
何もわからないままただ傷ついた生徒たちはついに立ち上がり、「学校内裁判」で真実を明らかにしようと動き出すのですが…
この作品では、視点が頻繁に移り変わり、登場人物それぞれの物語が緻密に絡み合って描かれていきます。
前半で丁寧に描かれた登場人物それぞれの物語が、一気に決着していくところは最高に気持ちがいいので、ぜひ味わってみてください。
この作品は、「登場人物の心情を緻密に描く壮大なミステリー」「大人びた子供たちの青春群像劇」「心揺さぶられ、考えさせられる作品」が好きな人に特におすすめです!
この本のさらに詳しい紹介は、以下の記事をご覧ください。
黄金の王白銀の王
この作品は二人の王の人生に焦点を置き、覇権争いで力を失った国が立ち直っていく様子を描いた骨太のファンタジー小説です。
主人公は百数十年もの間、国の覇権をめぐり殺しあってきた二つの一族の王「穭(ひづち)」と「薫衣(くのえ)」。
二人はお互いを殺したいほどに憎んでいながら、国を守るため秘密裏に手を組むことを決意します。
目指すのは、二つの一族を一つにし、争いの連鎖を断ち切ること。
しかし、根深い憎しみを抱えた人々にその目的を明かすことはできず、二人の王は孤独な戦いを強いられることになります。
侮蔑の目線や周囲の非難、多くの困難に耐えながら、自分を殺して進んでいく二人がたどり着いた結末とは…
自分の感情を押し殺し、上に立つものとしての振る舞いを必死で貫いていく二人の王の生きざまの尊さが胸に染み入る作品です。
読めば読むほど二人の王が好きになり、自分の信じた「正しい道」を進む勇気がわく作品ですので、ぜひ読んでみてください。
この作品は、「大河ドラマを見るような壮大なストーリー」「上に立つ者の葛藤や苦悩を描く作品」「心に残る名言」が好きな人に特におすすめです!
この本のさらに詳しい紹介は、以下の記事をご覧ください。
夜のピクニック
この作品は恩田陸さんの代表作であり、「永遠の青春小説」とも言われる作品です。
全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すイベント「歩行祭」。
それは「北高」の生徒たちにとってはすごく特別な行事で、特に3年生にとっては高校生活の総決算とも言えるものでした。
そんな歩行祭に高校3年生の「甲田貴子」はある賭けを胸に秘めて挑みます。
ひたすら歩き続ける一日の中で、普段は言えないことを語り合い、特別な「今」を全身で感じる生徒たち。
貴子の賭けはどうなるのか、そしてかけがえのない高校3年間を清算していく生徒たちは、3年間を振り返って何を思うのか。
結末も素晴らしいですが、それ以上にそこに至る過程に青春の一瞬のきらめきがあふれているので、そこをぜひ楽しんでいただきたいです。
この作品は「青春時代のきらめきを感じられる作品」「心の動きを丁寧に描く作品」「穏やかに進んでいく物語」が好きな人に特におすすめです!
この本のさらに詳しい紹介は、以下の記事をご覧ください。
蜜蜂と遠雷
この作品は、直木賞と本屋大賞をダブル受賞し、2019年には映画化もされた青春群像小説です。
物語の舞台は3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。
そこに挑戦する4人の演奏家が音楽を通して影響を与え合い、変わっていく様子が描かれていきます。
自分のピアノすら持っていないにもかかわらず、伝説の音楽家から「天からのギフト」とまで言われ推薦された謎の少年「風間塵(かざまじん)」16歳。
かつて天才少女と呼ばれていたが、母の死をきっかけに7年間ピアノから離れていた「栄伝亜夜(えいでんあや)」20歳。
妻子を持つ社会人でありながら、最初で最後の挑戦をするためにコンクールに臨む「高島明石(たかしまあかし)」28歳。
大会の優勝候補大本命であり、亜夜の幼馴染でもある音楽界のサラブレッド「マサル・カルロス・レヴィアナトール」19歳。
彼らの奏でる音楽が恩田陸さんのとんでもなく豊かな表現力で描かれており、音楽の世界の豊かさを一緒に味わうことができます。
また、音楽に選ばれたものしか行けない高度な領域で互いに分かり合い、進化していく天才たちの姿は読んでいて羨ましくなるほど魅力的で、わくわくさせられます。
音楽の知識がほとんどないような人でも音楽の素晴らしさを感じることができる作品になっているので、ぜひ読んでみてください。
この作品は、「美しい世界に引き込まれる作品」「音楽の世界の魅力」「天才たちの生きざま」が好きな人に特におすすめです!
この本のさらに詳しい紹介は、以下の記事をご覧ください。
永遠のゼロ
この作品は百田尚樹さんのデビュー作で、2013年に映画化、2015年にドラマ化した、戦時中に生きた人々を描く物語です。
主人公の佐伯健太郎という青年が様々な戦争経験者から話を聞く中で、特攻で死んだといわれる祖父「宮部久蔵」の人生を明らかにしていきます。
「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」そう言い続けた「宮部久蔵」は、なぜ自ら特攻を志願し命を落としたのか。
それを調べていくうちに、主人公は戦争の時代を生きた人々の声と向き合うことになります。
厳しい時代を必死で生き抜いた人々の熱い想いと生きざまには何度も泣かされ、戦争の悲惨さを心底実感します。
現代に生きる私たちにも生きる指針と勇気を与えてくれるような作品ですので、ぜひ読んでみてください。
この作品は、「戦争の時代を詳細に描いた物語」「熱い想いや切なる願い」「生きざまを描く作品」が好きな人に特におすすめです!
この本のさらに詳しい紹介は、以下の記事をご覧ください。
君の膵臓をたべたい
この作品は累計260万部を突破した大ベストセラーで、2017年に実写、2018年にアニメでそれぞれ映画化されています。
他人に興味を持たない高校生の主人公は、クラスメイトの人気者「山内桜良」が膵臓の病気で余命いくばくもないということを偶然知ってしまいます。
皆には内緒にしておいてほしいという桜良の願いを承諾した主人公はそれ以降なぜか桜良によく絡まれるようになり、桜良に引きずりまわされる形で交流を深めていきます。
自分とは対極にいるような桜良との関わりの中で徐々に変わっていく主人公ですが、病気は着々と桜良の体を蝕んでいて…
設定だけを見るとよくある恋愛もののように思われますが、実際には「生きる」ことの意味や、人とかかわることについて問いかけるような非常に深い作品になっています。
また、主人公もヒロインとは別の形で非常に魅力的な人物であるため、それぞれの魅力が奇跡的にかみ合った二人ならではの関係を楽しむことができるのもこの作品の特徴です。
タイトルの意味も考えながら読んでいくとより深く感じ入ることができるので、ぜひ読んでみてください。
この作品は、「落ち着いた性格の主人公」「奇跡のような出会いと成長を描く物語」「人生の意味を問いかける作品」が好きな人に特におすすめです!
この本のさらに詳しい紹介は、以下の記事をご覧ください。
最後に
今回紹介した小説は全て私自身がすごく感動したお気に入りの小説なので、どれか一冊を読んでみて、感性が合うなと思った方はぜひ他の作品も読んでみてください。
「黄金の王白銀の王」「夜のピクニック」「君の膵臓をたべたい」は、ボリュームが少なめで気楽に読みやすいので、そのあたりから読んでみるのもいいかもしれません。
また、メディア化されている作品も多いので、興味があればそちらもチェックしてみてください。
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