恩田陸「蜜蜂と遠雷」のあらすじと魅力をネタバレなしで解説!「音楽」の世界を「文章」で描き切る青春群像小説!

本紹介

本記事では、恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」をご紹介します!

この小説は直木賞と本屋大賞をダブル受賞し、2019年には映画化もされた青春群像小説です。

音楽の世界を文章で真正面から描いており、音楽の知識がない方でもその素晴らしさを感じれるような作品になっています。

まだ読んでない方にもわかりやすいように、ネタバレなしであらすじと面白さのポイントを解説します!

この作品は、「美しい世界に引き込まれる作品」「音楽の世界の魅力」「天才たちの生きざま」が好きな人に特におすすめです!

あらすじ・内容紹介

俺はまだ、神に愛されているだろうか?

ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、そして音楽を描き切った青春群像小説。

著者渾身、文句なしの最高傑作!

3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。「ここを制した者は世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝する」ジンクスがあり近年、覇者である新たな才能の出現は音楽界の事件となっていた。養蜂家の父とともに各地を転々とし自宅にピアノを持たない少年・風間塵15歳。かつて天才少女として国内外のジュニアコンクールを制覇しCDデビューもしながら13歳のときの母の突然の死去以来、長らくピアノが弾けなかった栄伝亜夜20歳。音大出身だが今は楽器店勤務のサラリーマンでコンクール年齢制限ギリギリの高島明石28歳。完璧な演奏技術と音楽性で優勝候補と目される名門ジュリアード音楽院のマサル・C・レヴィ=アナトール19歳。彼ら以外にも数多の天才たちが繰り広げる競争という名の自らとの闘い。第1次から3次予選そして本選を勝ち抜き優勝するのは誰なのか?(引用:amazon)

物語の舞台は「芳ヶ江国際ピアノコンクール」

近年注目度が高まっていると言われるこのコンクールに挑む4人の演奏家が音楽を通して影響を与え合い、変わっていく様子が描かれていきます。

自分のピアノすら持っていないにもかかわらず、伝説の音楽家から「天からのギフト」とまで言われ推薦された謎の少年「風間塵(かざまじん)」16歳。

かつて天才少女と呼ばれていたが、母の死をきっかけに7年間ピアノから離れていた「栄伝亜夜(えいでんあや)」20歳。

妻子を持つ社会人でありながら、最初で最後の挑戦をするためにコンクールに臨む「高島明石(たかしまあかし)」28歳。

大会の優勝候補大本命であり、亜夜の幼馴染でもある音楽界のサラブレッド「マサル・カルロス・レヴィアナトール」19歳。

果たしてコンクールの優勝は誰になるのか、そして音楽を通じ進化していく天才たちがたどり着く場所とは…

面白さポイント紹介

ポイント1 音楽の神に選ばれた天才たちの覚醒

この作品で最もお勧めしたいのが、音楽の神に選ばれた一握りの才能が覚醒していく様子です。

この作品は演奏者・審査員・聴衆など様々な人の視点から多角的に描かれていて、突出した才能に直面した人々の反応を自分も聴衆になったような気持ちで楽しむことができます。

とんでもない才能が現れたことを実感する人々の反応にはゾクゾクさせられ、その快進撃への期待をかきたてられます。

しかも面白いのが、突出した才能を持っている演奏者は一人だけではないということです。

一握りしかいないはずの選ばれた才能たちが奇跡的に集まり、お互いがお互いを覚醒させていきます。

コンクールの間にも影響を与え合い、どこまでも進化していく天才たちがたどり着く境地をぜひ見届けてください。

ポイント2 音楽を言語化し、美しい世界に引き込んでくる

この作品は大部分がピアノの演奏のシーンで占められていて、それぞれの演奏の様子がとんでもない表現力で言語化されていきます。

それぞれの奏でる音の違いや、それらが作り出す世界が見事に表現されていて、音楽知識の全くない人でも音楽の素晴らしさを感じることができます。

また、彼らの作り出す世界は壮大で美しく、聞くものを引きこむ魅力を持っています。

読者である我々はその音を聞くことはできませんが、読めば頭の中に世界が広がり、そこに引きこまれていく感覚を覚えます。

読んだ後は、作中に登場した曲がどんな曲なのか聞いてみたくなりますし、こんな風に音楽の世界を味わってみたいと感じることだと思います。

ポイント3 それぞれの葛藤が行き着く結末

中心となって描かれる演奏者たちは天才であると同時に一人の人間であり、それぞれに葛藤や迷いを抱えています。

また、「マサル」以外の3人は世間からの評価もあまり良くはありません。

そんな彼らが自分の中の葛藤を乗り越えて、自らの価値を証明していく姿にはすごく感動させられます。

しかも、葛藤を乗り越えて成長していけばいくほど、彼らの演奏もまた凄みを増し、才能がどんどんと爆発していきます。

最初は批判されたり、思い悩んだりしながら演奏に臨んでいた彼らが才能を開花させ、自由に音楽の世界を楽しんでいる姿を見るとこちら側も誇らしい気持ちになります。

それぞれの葛藤を乗り越え成長していく青春群像劇としての本作もぜひ楽しんでください。

最後に

この作品はクラシック音楽が題材になっているため、音楽に興味がないという理由で敬遠してしまっている人も多いかと思いますが、むしろ音楽の世界を知らない人こそ読むべき作品です。

専門用語は出てきますが、わからなくても十分楽しむことはできますし、それぞれの抱える葛藤は音楽の世界と関係なく共感することができます。

なにより、今まで音楽の世界の良さを知らなかった人にとって、この本が教えてくれる音楽の魅力はとても新鮮で引き込まれるものだと思います。

人生を豊かにしてくれる美しい音楽の世界をぜひ楽しんでみてください。

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